
私が紙漉きの道に入ったのは、ちょうど九歳のときでした。
現在、私は七十九歳の齢を数えておりますので、ふり返ってみますと、実に七十年もの間この道一筋に歩き続けてきたことになります。
いま、私の脳裏には、そんな七十年の出来事が走馬燈のように駆け巡っております。
時は、あらゆる辛酸からその痛みを和らげてしまうのでしょうか。いまとなっては、どれもこれも楽しく懐かしい思い出ばかりで、私は望外の幸せ者と、お天道様に感謝せずにはいられません。
私が永い間にわたって抱き続けてきた念願は、多くの人にもう一度日本の手漉和紙を見直してもらうことでした。(本文より)
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